日本におけるホームインスペクションとその背景

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日本におけるホームインスペクションとその背景

2016年12月15日|ホームインスペクション一覧に戻る

日本では住宅点検、住宅診断とも呼ばれているホームインスペクションをご存知でしょうか?
既存住宅インスペクション・ガイドラインの策定や宅建法の改正等にみられるように、新築一辺倒ではなく、中古住宅の流通を活性化させる動きが高まっています。
中古住宅の流通促進のためのツールとして、ホームインスペクションが注目されています。
今回はホームインスペクションが行われるようになった背景についてご紹介いたします。

日本におけるホームインスペクション

日本でホームインスペクションの必要性が訴えられるようになったのは、つい最近のことです。
これまでの日本の住宅市場は新築一辺倒でした。
今なおその傾向で、マイホームと言われると新築を想像される方が多いのではないでしょうか?
新築が推奨されてきた理由は、住宅が不足していた高度経済成長中に政府が推進してきたある計画に基づいています。
過去、旧建設省(現・国土交通省)は、「住宅建設計画法」に基づいて五年間の区切りを設けて新築住宅の供給促進を実施してきました。
太平洋戦争の傷跡をまだ残していた当時、高度経済成長真っただ中だった日本では住宅不足に陥っていました。
当時の住宅は一人当たりの居住面積が非常に狭く、経済成長いより個人の資金力は高まりつつあったものの、購入できる住宅がありませんでした。
こうした背景から「住宅建設計画法」が成功し、1970年代初頭には住宅充足率は100%を達成したのです。
その後も消費者のニーズに応えるべく、当初設けた5年間という区切りを延長し、新築住宅を建設し続け、2005年には空き家は660万戸も積みあがってしまっていたのです。
ようやく計画が終了した2005年までの40年間で、日本の住宅市場は「古い住宅を壊し、新しい住宅を建設する」という産業として成り立ってしまったのです。
政府の推進する計画が破綻した現在では新築住宅の着工数が減少した反動や、近年話題となっているリノベーションの影響もあり、中古住宅が見直されており流通量も増加の傾向にあります。
このように新築一辺倒が見直され、リフォームやリノベーションを行って住み続けるという選択肢を得た消費者に対してホームインスペクションが行われるようになりました。

ホームインスペクションの背景

中古物件の流通がさかんなアメリカ、ホームインスペクションの歴史は1976年まで遡ります。
当初、差し押さえ物件の価値を見極めることを目的として、等しかのために作られた制度でした。
2001年頃アメリカでは、住宅の検査基準が設けられたり、ホームインスペクターの資格制度が普及し、こうした住宅整備をきっかけに現在までに多くの州で制度化されたことがホームインスペクション実施の先駆けとされています。
住宅分野で本格的に活用され始めたのは1990年代に入ってからで、家を購入する際の知識の一つに過ぎず、契約書上のものではありませんでした。
その後、中古住宅流通量の増加に伴い検査取扱いの量も増え、様々な建物検査関連の教会でホームインスペクションのルールや診断におけるあらゆる基準が作成されて運用に至りました。
ホームインスペクションが初めて制度化されたのは2001年、マサチューセッツ州でした。
その後ワシントン州でも、行政の検討や協会・消費者団体からの要望が重なり、2009年に州法が制定されてホームインスペクションの資格制度が施行されました。
このように各州で住宅における検査基準やホームインスペクターの資格制度が普及し現在多くの州で法制度が整備され、おおよそ10数年間で急速に普及し、住宅購入者が安心できる流通システムをつくり中古住宅市場の拡大に貢献してきたのです。

ホームインスペクションの種類

「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で定められているホームインスペクションには、三つの種類があります。

①既存住宅に係る一次的なインスペクション
中古住宅売買時に行われる建物検査を対象としています。
目視による非破壊検査を基本とします。
対象となる建物の水平・垂直を検査する際や、壁面の剥離を調査する際など、部分的に専用の機械を使用することがあります。
構造安全性や日常生活上の支障があると考えられる劣化事情や不具合などの有無を把握するための現況検査を指します。
中古住宅売買時の建物検査や、住宅取得後の維持管理時(メンテナンス時)の定期的な検査を「一次的なインスペクション」と位置付けています。
※「既存住宅インスペクション・ガイドライン」で定められている各項目内容は、「一次的なインスペクション」のことを指します。

②既存住宅に係る二次的なインスペクション
破壊検査も含めた詳細な調査を行い、劣化事象や不具合の発生している範囲を特定し、その原因を総合的に判断するインスペクションを指します。
現に日常生活を営む上でなんらかの支障が生じている場合など、不具合を修繕しようとする際に利用されるインスペクション(住宅の耐震診断や不具合の補修前のインスペクション)はこれにあたります。

③性能向上インスペクション
リフォーム実施前後に現況検査を行い、住宅の劣化状況と性能を把握するインスペクションを指します。
現在多くの建築事務所や専門事務所、民間業者で行われているホームインスペクションは、「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に則った上で各社独自のサービスを行っています。

ホームインスペクションをご検討中の方はご相談ください

中古住宅の流通促進に伴い、徐々に認知度が高まってきたホームインスペクションですが、まだまだ十分に活用されているとは言えない状況です。
それは、「新しい住宅を作っては壊す」という新築偏重の意識が、社会の中でまだまだ内在しているためでしょう。
これからの日本の住環境は、「長持ちする住宅を作り、大切に維持し、引き継ぐ」といった「循環型社会」へと大きく変わっていきます。
それに伴い、ご自宅をお持ちの方、購入・売却を検討されている方、それぞれの立場の方が改めて意識し、住まい方を見つめ直す必要があります。
このような住宅市場の変化とその需要の拡大に伴い、ホームインスペクションを行う業者がここ数年で格段に増えてきております。
ホームインスペクションを専門とする大手調査業者から建築士が個人で行っている業者まで、その形態は様々です。 ホームインスペクションで最も重要なことは、「第三者性の堅持」です。
第三者の立場から客観的に調査を行うことで、住宅の価値を明らかにすることができるためです。
ホームインスペクションをご検討中の方や業者の選定にお悩みの方は、(社)日本住宅工事管理協会までお気軽にお問い合わせ下さいませ。

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